惑星探査機

数学のこととか

局所体上の cohomology (1)

続編があるかは不明.

局所体  k について  \mathbb{F}_\ell G_k-加群としての  1 次 cohomology  \mathrm{H}^1(G_k, \mathbb{F}_\ell) の次元は, 実はいくらか数論的な情報を含んでいる.

 \mathbb{F}_\ell 0,  2 次の cohomology については easily に計算できる ( 2 次の場合は duality を使う). また, Euler-Poincaré 標数に関する基本的な理論を用いれば, ここから  1 次の cohomology の大きさを計算できる.

[NSW, Corollary 7.3.9] の内容は以下の通り:  \mathrm{dim}_{\mathbb{F}_\ell}(\mathrm{H}^1(G_k, \mathbb{F}_\ell)) = 1 + \delta + \theta. ただし,  \delta は,  \mu_\ell \subset k のとき  1 で, そうでなければ  0 である. また,  \theta は,  \ell = p (これは  k標数 0 であることを含意する) のとき  [k \colon \mathbb{Q}_p] で, そうでなければ  0 である.

この事実の easy な系として, なんらかの混標数局所体  k の絶対 Galois 群と同型な副有限群  G に対し, その剰余類体の標数  G_p と, 次数  [k \colon \mathbb{Q}_{G_p}] を復元できる.


(追記: 2022/12/01 22:43) [NSW] のゼミでこの小咄をしたところ, 標数と次数自体はもっと簡単に求まった気がすると指摘を受けた: 実際そうだと思う (乗法群がほぼすぐ局所類体論から復元されるから, それをみればよい).

monoanabelian reconstruction についてどこかでかけたらとは思う.