惑星探査機

数学のこととか

もやの測量

位相的な方法と解析的な方法によって同じ量を測ることができるというものがあるが, これはある意味では「おなじ操作」の異なる極限なのではないかと理解している. すなわち, その図形の「具体的な大きさ」にとらわれることなく, ただそのつながりに着目して「抽象的な」足し算を行って得られるものが「位相的量」であって, その図形を世界のなかに map して, 足し算を行って得られるものが「解析的量」であると考えられる. このとき, map の方法により位相的量から解析的量が得られるがこれは一致する, ということが起こるように思う.

 

これはある意味では「空間の質的変更」としても理解されるようにおもう: すなわち, 「解析的空間」から測量の情報を忘れることによって, 「位相的空間」を得ることができる. このとき, 「位相的計算」は「解析的計算」に引き戻される. 逆に, map とはある種にこの部分的な split を構成することでもあると理解される.

Hartshorne Ex.ii.6.11

(a)  \mathrm{Div}(X) \to \mathrm{K}(X) なる射が作れるが, これが principal divisor を消すかが問題となる. ここで基本的な観察として, divisor  D_1 \leq D_2 について,  \mathcal{L}(D_2)/\mathcal{L}(D_1) は skyscraper sheaf になっていることに気付くと,  [\mathcal{O}_X/\mathcal{L}(D)\ - \[\mathcal{L}*1/\mathcal{L}(D)\]] として [tex: *2] の行き先は実現できるため, よい.

(b) affine のレベルに制限すると, homotopy により同型射が作れることに気付くが, さらに行列計算によってこの同型射が homotopy に依らず決まるということに気づけば, 同型ははりあい, 大域的な同型が構成できる. 行列計算は, section もみてあげればいい.

(c)  \mathcal{F} を捻れば大域切断で生成される.  \mathcal{F} の生成点での基底をとってあげれば, あとは  \mathcal{O}_X^{\oplus n} \to \mathcal{F} の kernel をみるだけだが Dedekind 環の加群論で終わる.

(d) obvi.

*1:f

*2:f

Hartshorne Ex.ii.6.9

主張 1.  \mathrm{CaCl}(\tilde{X}) の元  D について,  D を表現する因子を, 有限個の特異点と無縁であるようにできる.

実際,  \tilde{X} は projective であるため, 有限個の点を含むような affine open がとれるが, それはまさに Dedekind 環である. 算術の基本定理より, 主張は示される.


 \Gamma(X, \mathcal{K}^\times/\pi_*(\mathcal{O}_{\tilde{X}}^\times)) \to \mathrm{CaCl}(\tilde{X})全射は主張 1 より従う. (特異点を含む適当な開集合に 1 を充てれば, よい.) 単射性についても, 明らか.

よって, あとは skyscraper sheaf が flasque であることから cohomology 長完全列をみればよい. これで (a) は示された.


(b) については, 計算すればよい: memo だけ残すと,  k[t]_{(t)}^\times/k[t^2, t^3]_{(t^2, t^3)}^\times k と加法群として同型. また,  k[t]_{(t-1), (t+1)}^\times/k[t^2-1, t^3-t]_{(t^2-1, t^3-t)}^\times は演算が  (a, b) \mapsto \frac{a + b}{ab + 1} なので,  \frac{1 - y}{1 + y} とかで変換すれば  k^\times と乗法群として同型.

局所体上の cohomology (1)

続編があるかは不明.

局所体  k について  \mathbb{F}_\ell G_k-加群としての  1 次 cohomology  \mathrm{H}^1(G_k, \mathbb{F}_\ell) の次元は, 実はいくらか数論的な情報を含んでいる.

 \mathbb{F}_\ell 0,  2 次の cohomology については easily に計算できる ( 2 次の場合は duality を使う). また, Euler-Poincaré 標数に関する基本的な理論を用いれば, ここから  1 次の cohomology の大きさを計算できる.

[NSW, Corollary 7.3.9] の内容は以下の通り:  \mathrm{dim}_{\mathbb{F}_\ell}(\mathrm{H}^1(G_k, \mathbb{F}_\ell)) = 1 + \delta + \theta. ただし,  \delta は,  \mu_\ell \subset k のとき  1 で, そうでなければ  0 である. また,  \theta は,  \ell = p (これは  k標数 0 であることを含意する) のとき  [k \colon \mathbb{Q}_p] で, そうでなければ  0 である.

この事実の easy な系として, なんらかの混標数局所体  k の絶対 Galois 群と同型な副有限群  G に対し, その剰余類体の標数  G_p と, 次数  [k \colon \mathbb{Q}_{G_p}] を復元できる.


(追記: 2022/12/01 22:43) [NSW] のゼミでこの小咄をしたところ, 標数と次数自体はもっと簡単に求まった気がすると指摘を受けた: 実際そうだと思う (乗法群がほぼすぐ局所類体論から復元されるから, それをみればよい).

monoanabelian reconstruction についてどこかでかけたらとは思う.

円分指標

いわれてみればそういうのもある, みたいな構成. J. Neukirch, A. Schmidt, K. Wingberg, "Cohomology of Number Fields", VII §3 を参照.

 k を体としたとき,  \mu k代数閉体のなかの unity のなす群とする.  G_k k の絶対 Galois 群とすると,  \mu G_k-加群となるが,  \mathrm{Aut}(\mu) は自然に  \prod_{\ell \neq \mathrm{char}(k)} \mathbb{Z}_\ell^\times と同型であるため, 円分指標  \chi_\mathrm{cycl} \colon \prod \mathbb{Z}_\ell^\times が得られる.

この指標はすなわち,  \mathbb{Z}/n\mathbb{Z} \mu_n のあいだの乖離についてコードしたオブジェである.

 \mathrm{char}(k) と互いに素な有限  G_k-加群  A について, 円分指標を用いて捻ったものを Tate twist といい,  A(1) と表記することがある.

有限とかいたが副有限あるいは torsion module のクラスで定義できること, あとは捻れが functorial なことは容易に確認できる. ここで,  \mathrm{char}(k) = 0 のとき,  \hat{\mathbb{Z}} の twist  \hat{\mathbb{Z}}(1) のことを円分物とよぶ. これは,  \mathrm{lim} \  \mu_n なる  G_k-加群と同型である. しかしながらこの同型は非標準的なかたちで実現される.